ハーレーダビッドソン HARLEY DAVIDSONの魅力

ハーレーダビットソンの魅力に取りつかれ、ビンテージハーレーにぞっこんのハーレー中毒者は、世界中に存在する。'70年代や'60年代は勿論のこと、中には戦前に製造されたモデルをレストアし、乗り回している人もいる。

長?い長?い歴史を持つハーレーダビットソン。第1号車は1903年に生まれているので、もう100年以上の歴史がある。登場したモデルの中には、マニア垂涎の名車と呼ばれるモデルも多く、本国アメリカは勿論のこと、世界中にハーレーフリークたちが存在している。奴らは、50年以上も前に造られたハーレーを、治しては乗って、治しては乗ってと散在を繰り返している。

ハーレーダビットソンというオートバイは、1903年にアメリカで誕生し、100年以上に渡って途切れることなく進化を繰り返してきた。北米大陸、ここにハーレーダビットソンの魅力が隠されている。オートバイという乗り物は19世紀末にヨーロッパで誕生し、イギリスがイニシアティブを取りつつ世界に広まった。ご存知のように我が国は、イギリスと同じような小さな島国。それゆえ日本におけるオートバイはイギリスを手本としながら進化し、コストパフォーマンスと信頼性の高さゆえ、1970年代からは世界のマーケットを席捲する存在となる。日本車に圧倒された本家イギリスのオートバイメーカーはすべて消え去り、ヨーロッパにおいてはドイツのBMWやイタリアのドゥカティ/モトグッツィといったマニアックなメーカー、若しくは小規模のオフロードバイクメーカーが辛うじて生き延びた。これに対しハーレーダビットソンは、ヨーロピアン・スタイルと呼ばれるスポーツバイクとは全く異なる進化を果たすことになる。

飛び抜けて大きなエンジンを大柄な車体に積み、ホースバック・ライディング(馬にのるような背筋の伸びたライディングフォーム)で突き進むそれは、ヨーロピアンに対する「アメリカン」と呼ばれ、スポーツバイクとは対極をなすツアラーとして存在してきた。大陸という巨大な大地、網の目のように張り巡らされたフりーウェイ。アメリカという国が成し遂げたこの交通システムは、ヨーロッパや日本のような小さな国の道路とはあまりに異なっている。地平線まで続く直線路。なる1日走り続けても変わらない風景。そんな土地に必要なのは、前傾姿勢によるスポーツライディングや高回転で大パワーを発揮するマルチエンジンなどではなく、どれだけ走り続けても疲れの少ないゆとりであり、ちょっとやそっとではびくともしない強さなのだ。
ハーレーダビットソンは、大陸で生まれ、大陸によって育まれたオートバイであるが故に、ハーレーダビットソン以外とはあまりに異なる進化を果たしたのだ。

''ハーレーダビッドソンの誘惑''
とにかく重く、馬鹿でかく、値段だって高いハーレー。ハーレーダビッドソンは「取っ付きにくい」オートバイである。これからハーレーに乗ってみたいと思うような人には、とりわけそう映る筈だ。確かにそのとおり。敷居が高い。しかし、一度自分のものとしてしまえばハーレーダビッドソンというバイクは、付き合いやすく、深く知るほどに楽しさが増す乗り物であることに気が付くだろう。本当のところ、ハーレーは取っ付きやすい。その理由の1つには、メカニズムのシンプルさにある。
例えば、OHV(オーバーヘッドバルブ)。このエンジン形式は、日本ではずいぶん昔に死に絶えてしまった。ホンダのカブがOHVからOHC(オーバーヘッドカムシャフト)になったのが1966年。国内最後のOHVエンジンを搭載した日産サニトラの生産が終了したのが平成6年。OHCはおろか、お母さんの買い用軽自動車にまでDOHCエンジンが積み込まれているこの国で、OHVはもやは過去の遺物である。

「古めかしいメカニズム」これはハーレーの取っ付きやすさを語る1つのカギだ。古めかしいということは「シンプル」であることを意味しており、エンジンを構成する部品の数は、日本製の4気筒DOHCに較べれば半分にも満たないであろう。それゆえハーレーのメカニズムには我々素人でも手を出せる範囲が大幅に残されている。
新車で購入できるツインカム88エンジンや、1つ前のエボリューションしかり。ショベルヘッドやパン、ナックルといったクラシックモデルもしかり。ハーレーダビッドソンに乗るライダーは、修理やチューニングのために自らエンジンをばらすことにチャレンジする者が多いのは、シンプル極まりないメカニズムの恩恵と言える。初めて自分でオイルを交換して走り出した時の、心までちょっぴりきれいになったような気持ち。調子の悪い原因を自分で突き止めた時の誇らしさ。初めてエンジンを開けた時の、怖さ交じりのワクワク感。キャブレターが作り出したガソリンと空気の混合気がピストンで圧縮され、爆発し、重いフライホイールを回す。カムシャフトがブッシュロッドを押し上げ、ロッカーアームを介してバルブが開閉する。ブライマリーとクラッチを経由してミッションが回り、ドライブチェーンがリアホイールを回す。手を油で汚しながらハーレーで走り続ければ、シンプルなメカニズムが作動するその様をリアルに思い描けるようになるだろう。その時あなたとハーレーとの付き合いは、更に深くなっているはずだ。